昔から何気なく見ていたもの、読んでいたもの、聞いていたものがある瞬間に自分にとってとても新鮮なものに映って、ハッとさせられる。

誰にでもあることかもしれません。

昔の自分と今の自分とで周囲の環境が変わっていればそれは尚更起り易いでしょう。

例えば高校から大学に入るとか。実家を出て一人暮らしを始めるとか。
毎日授業を受けていた3年生から研究室に配属されるとか。卒業して大学院に入るとか。就職が決まるとか。まあタイミングはいくらでもあります。
その度に自分でも気付かない変化があったのだろうとも思います。

その最たるタイミングが就職なわけです。

住む町はおろか、生活スタイル、周りの人間、経済状況、働くという事そのものなどなにもかもが最もドラスティックに変わる瞬間といってもいいかもしれない。

そんな変化が関係してか、冒頭で触れたハッとするような瞬間が2つあって、こんな事を思ったわけです。

1つは、金子達仁というスポーツライターの書いた本を読んでいた時のこと。
昔からこの人の本が好きで何冊も持っています。お気に入りは「すべてあの日から」というエッセイ集で、何回も読んでます。
内容は彼の様々なものに対する考え方や、スポーツライターという仕事を通して考えたこと、そして彼の原点に迫るものです。
よく描かれるのが、現在の金子さんと青年カネコの考え方の違い。例えば時間とかお金とか休みとか人付き合いとか。
詳しくは触れませんが、何度も読んでるくせに今頃ハッとする言葉がいくつもあって感慨にふけってしまいました。

もう1つはテレビです。「プロフェッショナル仕事の流儀」NHKのアレです。
学生時代からもたまには見ていて、それなりに楽しんでました。ほーほーと感心していることもありました。
先日も何気なく見ていたんですが、ある一言にハッとさせられ、また感慨にふけりました。
プロフェッショナルという事で、その道のプロが出てきて、仕事についてあれやこれや語るわけですが、学生時代の自分にとってはそれは超一流の人の言葉で、もちろん含蓄はあるのだけれど、プロフェッショナルという言葉の響きに自分とは違う世界の話だと、なんとなく感じていました。

ただ、自分の技術でもってお客さんからお金をもらい、それを会社から給料としてもらう以上それは間違いなくプロの仕事であって、プロフェッショナルであるべきなんです。

自分の会社は測量や計測をやっていますが、野球選手が野球のプロで、建築家が設計のプロであるのとなんら変わりなく、自分も測量のプロたるべきなんだと思うようになりました。
当たり前と言えば当たり前ですが、働いて初めて、言葉ではなく実感としてこの事に気付きました。

そんな時にです。プロフェッショナルの番組に出ていた特殊メイクアップアーティストの江川悦子さんの言葉です。
江川さんは、若い時に旦那さんの都合でロサンゼルスに住み、専業主婦をしていて、退屈な日々を送っていたそうです。そんなときにたまたま見た「狼男」という映画で、当時まだ珍しかった特殊メイクによる変身シーンを見て感激したそうです。
そこから彼女は旦那さんに頼みこみ、ハリウッドの特殊メイクの学校に通い、数年後帰国し、日本の特殊メイクの第一人者となったそうです。

特殊メイクを初めて見て感激した時に江川さんが思ったのはこんな言葉でした。

「これ、おもしろそう!」

この言葉にやられました。
もう4年も前かな、自分が初めて3Dレーザースキャナを見た時、全く同じ事を思ったのを思い出したんです。
「こんな技術があるなんて!おもしろい!すごい!使ってみたい!」と。

江川さんの場合もこの言葉に突き動かされて第一線でやってこられたのでしょう。

その技術に対する好奇心ともう一つの興味である文化財というものが結びついて、今の会社に就職し、今日も3Dレーザースキャナを使って働いているんですが、この言葉には自分の原点が詰まっているような気がしてなりません。

プロフェッショナルである事を求められる以上、仕事に打ち込む情熱が必要で、そのためには原点を知る必要があると思います。
自分を振り返れば、なぜ建築学科に入り、なぜ歴史研究室に入り、なぜ測量会社に入ったのか。
それぞれの決断をする時に自分がおもしろい、と思ったことを選んだきた結果、今の自分がいるわけです。

「これ、おもしろそう!」と思った瞬間の気持ちを忘れずに働いていきたいものです。






ものすごい真面目に書きましたが、自分用のメモ代わりなので読みにくかったらごめんなさい。