要旨:
macやipod、iphoneなどの製品を開発・販売するAPPLE社はその独自な発想と経営戦略によって近年その存在感を増してきた。その一つの要因としてあげられるのが、一連のAPPLE社製品ユーザーを取り巻く環境の構築であると考えた筆者は、それを「トゥルーマン・ショー的世界の構築」と称することとした。「トゥルーマン・ショー」は1998年ジム・キャリー主演の映画で、架空の世界の中で生まれた瞬間からテレビドラマの主人公として生きることを余儀なくされた男の物語である。映画中、主人公は巨大なドームの中に作られた架空の街で人生の時間を過ごすが、人間関係やイベントや天候にいたるまでが全て製作者によってコントロールされている。APPLE社の戦略はユーザに対し、ある種ユートピア的な世界・環境を構築し、その中にいるものだけが共有出来うるサービスや製品を提供し、その世界を広げてきた。この点がトゥルーマン・ショーで提示された世界観と通じるもものが多いと感じた筆者は、本論においてmicrosoft社の提供するwindowsと比較しながらAPPLE社の「トゥルーマン・ショー的世界の構築」を論じている。その結果、その戦略は極めて狡猾で、ある種の問題や矛盾を抱えつつもユーザーを取り巻く環境そのものをコントロールしその中にいることの満足感をユーザーに与えることが出来る点において秀逸なものと言えることが出来た。

キーワード:
APPLE mac 経営戦略 ユーザー