今回のエジプト調査の目的はテヘン村周辺に点在する古代エジプト〜古代ローマ時代の遺跡の3次元データを取得することでした。

約1週間の調査で約350回の計測を行ない、ほぼ全域の調査を無事終えることができました。

一般に遺跡調査というと野帳とコンベとトランジットを使ったものが多いのですが、私自身も私のプロフェッサーも3Dレーザスキャナという技術に可能性を感じています。


それは様々な考察に際して立体的な思考がどうしても必要な場面というのが存在し、野帳+コンベという2次元の世界では到底計り得ない情報があるからです。

スピードと正確性(一つのデータの中での絶対的な位置関係)は特に圧倒的。

自然の岩盤から石を切り出すという立体的な作業を復元するにあたって、その作業場全体を3次元データとして記録することが有効な手段であることは間違いないですし、通常測るのに最も苦労する断面図もデータさえあれば任意の位置で作成できます。


とはいえ、これまでの調査方法が対象の観察を含めて重要であることも疑いようのない事実です。

要は所詮ツールであるレーザスキャナもコンベもトランジットも人がそれをうまく使いこなせるかどうかという点が重要で、レーザスキャナも何も考えずに計測ができるものではないです。目的を持って調査をすることが重要ということです。

今回の計測結果で何が分かるのか、論文を書かなきゃなりませんのでじっくりと考えます。


難しい話はここまでにして写真を。
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機械を操る私です。
NORTH FACEのジャケットに麦わら帽子はもはや定番。当然ズボンはユニクロです。
肩甲骨のラインがマニアにはたまらないとか。

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神々しいまでに輝く今回の主役。仕様では動作環境は40度までなんだけど、今回は40度を超える環境でも問題なく作動。タフだぜ。去年もこのタフさが欲しかった・・・。

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調査現場です。手前に見えるのが石切りの跡。規格化された石が整然と並んでいますね。
はっきり言って不毛の大地です。最終日に蛇を見たけど奴らは何を食べているのだろうか。

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夕日は本当に綺麗です。調査は毎朝夜明けを見ながら始まり、夕日が沈むのを見ながら帰ります。贅沢な時間ですよね。ナイルに反射する光が綺麗です。