今東京、特に上野周辺では大変なパンダブームが起こっております。

右を見ても左を見てもパンダ。上を見ても下を見てもパンダ。

まさにパンダらけといった様子です。パンダフルとも言いますね。
お盆辺りまではこんなムードが続くのではないでしょうか。


上野の中心とも言うべき上野駅内には昨年ECUTEという、ショッピングモール?のようなものが出来まして、ファッションに雑貨に食料品などのオシャレなお店が並び大変な賑わいを見せております。

当然ここもパンダ達の侵略に遭っており、パンダフルワールドと化しております。
様々な趣向を凝らしらパンダグッズがほとんどの店に並び、「限定パンダグッズ案内マップ」なるものも掲示され、このパンダブームに乗り遅れまいと肖(あやか)ろうと盛り上げている感じがヒシヒシと伝わってきます。

乗り換えのために降りた上野駅であったため、特に目的もなかったのですが、「そういえば美味しいクロワッサンのお店があるらしいぞ」ということを思い出し、一人で漫ろ歩きをしておりました。

やはり店頭にはその店オリジナルのパンダ関連商品が置いてあります。お菓子の店ではケーキやクッキー。文具ではペンにノートに。

そんなパンダグッズを目で追っているうちにある事に気づきました。
「同じパンダをモチーフとしながら、どうしてこんなにパンダ商品としての魅力に差があるのだろうか」と。

パンダは可愛い。これは誰もが認めるところ。単純にして明快な色使い。愛くるしい動き。丸々とした体型。

なのに、クオリティの低い商品が多い!いや、パンダというキャラクターとして高い品質のものを題材にしている割には出来上がった商品の良し悪しの差が大きい!

なぜか。

その時に大学生の頃の、いや今も学生ですが、若かりし学生の頃の設計演習を思い出しました。
建築を志す学生にはどこの大学でも設計演習というものが課せられます。

教員に提示された課題を短いときは1日、長いときは数ヶ月かけて、オリジナルの建築をイメージし、論理を組み上げ、模型を作り、図面を引き、建築物として具現化する作業です。

当然知識も経験もない学生は自分自身の力のみでオリジナルの建築を作り上げられるわけもなく、より良いものを作るためには先人たちの知恵を拝借するということをするのが常です。

なぜこの建築はこんなに私を魅了するのか、その要素はなんであろうか。その要素を学べば、私にもかっこいい建築が作れるのでは。

こんな思いで良い建築と向き合い、学び、自分なりの解釈を加えてオリジナルの建築に組み込む。

これが世界中どこでも行われている建築教育の現場の姿です。

名作と言われる建築に隠された要素をうまく感じ取り、自分の建築に活かせた作品は大変に魅力的で、その要素はすでに彼自身のものとなり、よりよい建築を作る人間へと成長させます。

その一方で、名建築の要素を学び組み込んだはずの建築が、あまりに陳腐で、かっこ悪く、出来が悪いということがあるのも確かです。

良いものから学ぶという姿勢は大事ですが、常にそこには尊敬の気持ちがないといけません。
表層だけを真似た物、よく研究せずにそのまま拝借したものは陳腐です。

「安易にパクる」という言い方を昔よくしましたが、問題なのはそれを作った建築なり建築家なりに尊敬の気持ちがあるのかないのかが重要なのではないか。


話は戻ってパンダブーム。
パンダという題材をどう料理するかはデザイナーや職人の腕の見せ所。それを「とりあえずパンダならなんでもいいんだろ?」という姿勢で取り組むと決して魅力的な商品は生まれない。
設計演習での「とりあえずこのカッコイイのそのままぶち込めばカッコイイっしょ。」と同じ。

結論を言いましょう。

もっとパンダを尊敬しろ!


以下、参考画像。
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あら可愛い。。。

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おっさんパンダは哀愁が漂う。
笹が出てくる小窓に陣取る様は、パチンコ台に無心で向かうおっさんのよう。尊敬尊敬。