2013年3月の映画記録です。
あまりに酷い邦題が世の中を席巻しているので(たまにいいのもある)、大きく異なる場合は邦題と英題を併記することにしました。

21.ゼロダークサーティ(2013)

「ハート・ロッカー」でアカデミー賞をとったキャスリン・ビグローの最新作。
オサマ・ビンラディンの居場所の探索、アジトの発見、潜入、殺害の計画を指揮し、執念とも言えるような行動力と精神力によって目的を果たしたCIAの女性職員の話。

冒頭からまざまざと見せられる捕虜の拷問シーン。
友好的話し合いに見せかけた自爆テロ。
外国人の多いレストランを狙う爆破テロ。

ある人はアメリカへ送還され、ある人はテロの犠牲になり、彼女自身も自宅前で発砲を受ける。

それでも彼女は異常なまでの執念でオサマ・ビンラディンの居場所を突き止める。

他国への無断侵入による殺害作戦。失敗すれば国際問題となる。
「そのアジトにビンラディン」の入る確率は?」とCIAの長官が会議で問う。
皆が「60%」と答える中、彼女は「100%。でもそれじゃ皆がビビるから95%。」

そして作戦の決行。ドキュメンタリーを見ているような緊張感。
ターゲットの殺害に成功。

だが歓喜の声は聞こえない。
あるのはやるせないような徒労感と心に空いた大きな穴。

ラストシーンで彼女はたった一人で軍用機に乗り帰国する。
ホッとした顔も疲れきった顔も見せず虚空を見つめて泣く彼女。


一体何が彼女をそこまでビンラディン殺害に駆り立て、なにが彼女の心を支えてたのだろうか?
と考えています。

☆☆☆☆


22.ジョニー・イングリッシュ 気休めの報酬 (2011)
"Johnny English Reborn"

ジョニー・イングリッシュ 気休めの報酬 [DVD]
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ミスタービーンでお馴染みのローワン・アトキンソン主演のスパイ映画。
「気休めの報酬」という邦題からも分かる通り、007シリーズのパロディです。
ミスタービーン以外の映画で初めてローワン・アトキンソンを見たのだけど、どうしても比べてしまう。そしてビーンのほうが面白いと感じてしまう。

クスっと笑うシーンは多いんだけど、息が出来なくなるぐらいお腹痛くなって"Un moment, per favore!!"とか叫ぶぐらい笑いたかった私としては少し物足りず。ストーリーも単調なので特に印象深いところもなく。

ただ、彼がトラウマにしているエピソードの回想シーンがあってそれは面白かった。
モザンビークの大統領を護衛していたんですが、その大統領が演説している最中にいかにも怪しい謎の美女に誘われて、水着で一緒にジャグジーに入るっていうシーン。
バカバカしすぎる。

そして見終わってから、これが2作目(英題のrebornに気付いた)という事を知って激しく狼狽したので、ローワン・アトキンソンの名誉のためにも1を借りてこようと思いました。

☆☆

23.フラッシュバックメモリーズ3D(2013)

「神様、この記憶だけは消さないでください」

ディジュリドゥという楽器の世界的奏者であったGOMAのリハビリを中心に捉えたドキュメンタリー映画。
GOMAは交通事故により脳に障害が残ってしまった。日常生活に戻ろうとするも、記憶が抜け落ちていたり、時間の感覚を忘れてしまったりと時折発生するフラッシュバックに苦しんでいる(昔の写真を見ても、なぜ写真の中の僕が笑っているか分からないと言う)。それでもディジュリドゥ奏者の舞台に戻ってきた彼の演奏と彼の生きてきた記憶を辿るドキュメンタリー、そして彼の脳内に浮かんでは消える映像を3Dで見せる。

記憶にこそ自分の今までが残り、これからの自分が残っていく。
だが彼の中では次々と記憶が忘れ去られていき、時間軸が崩壊したように現在が過去に消え去っていき、過去が現在のようによみがえる。「どの時間軸にも属していない」とGOMAは言う。

誰だって誰かの記憶に残りたいと思うであろう。特に彼は自分自身の記憶が消えていくのだ。
だから彼は肉体を使って我々の記憶に彼自身を刻む。
映画館の大音量が振動として伝わって、まさに自分の肉体、細胞に音が刻まれているような感覚。

ラスト、スクリーンに大きく秒単位の時間表記が現れる。
あれはまさに「今」という時間軸に彼が存在していることの確認ではないか。

そして目撃者である我々の記憶にもGOMAという存在が刻まれた。

もう大丈夫だ。

これは映画館の大音量と3Dが両方ないと楽しめないので見てよかったです。

☆☆☆


24.ザ・レイド(2012)

インドネシア発のアクション映画。
お話はすごく単純で、麻薬密売組織のドンが他の悪い奴らを匿っている大きなビルがありまして、そこにSWAT達が突入していくというものです。はっきり言ってストーリーはどうでもいい。
そりゃ途中で仲間が殺されたり裏切ったり、意外な人間関係が発覚したりするんだけど、結構どうでもいい。
ラスボスがどうなっちまうんだ?とかのハラハラもないからどうでもいい。
初登場のシーンからはラスボスの小物感がビンビンくるので大体想像付くしね。

なにが良いか。

そりゃあんたアクションシーンですよ!
ノンストップアクションって言葉がこんなにバチッとハマる映画も中々ないよ。

最初はSWATだから当然かなり武装していてビルの吹き抜けとかで派手な銃撃戦が繰り広げられるんですけど、意外な反撃にあったりして(この辺りのラスボスの館内放送は治外法権っぽい恐怖感があってすごく良い。)、なんと弾が切れるんですねー。

そっからはね、もう素手ですよ。あとたまにナイフ。

シラッドっていうあっちの格闘技を主に使うんだけど、これが超かっこいい。
撮り方もいいし、俳優のアクションもいいし、間もいい。咄嗟の閃きと卓越した技術が相まって見たことのないかっこいいアクションシーンができてる。

で、ありがちだけど敵に凄い使い手がいて、戦いの美学があって、わざわざ不利な状況を作ってまで戦いを挑んでくる。

それをギリギリでぶっ倒す!!!

いやー面白かった。映画館で見れなかったのが悔やまれる一本。

見終わった後すげーテンション上って部屋の中でシュッシュッシュッとシャドーボクシングやったよ。
シャドーボクシング繋がりで告白すると、007を見た後は人がいないとこなら大体銃を構えるポーズをしながら階段を降りたり、部屋をウロウロしています。

とにかくザ・レイドを見れ!

☆☆☆☆


25.その土曜日、7時58分 (2008)
"Before the Devil Knows You're Dead"

英題の前には"May you be in heaven half an hour"と付きます。

それぞれ金銭に問題の抱える兄弟が、自分の両親が営む宝石店に強盗を仕掛ける計画を立てる。誰も傷つけず宝石だけを奪い、闇ルートに流す。宝石店は保険に入っているから両親にも負担をかけない。
それで上手く行くはずだった。

主人公の兄弟がどんどん堕ちて追い詰められていきます。
自分たちの犯罪を隠すために、嘘と犯罪に塗れて坂道を転げ落ちるように人の道を外れていき、その姿がとても哀れで情けなくて痛々しい気持ちになります。

ところで、兄の妻役をマリサ・トメイが演じているのですが、いい女だこれは。
ザ・レスラーという映画でも落ち目のストリッパー役で出ていてさすがの私も「ウム」と唸るほどのいい女っぷりを出していたのですが、今回はその2乗ぐらいです。
Tomei-Before-3
ウム。
この方1964年生まれですよ。撮影当時で44とか。なんちゅうアレですのって感じ。
ちなみに普段はこんな感じ。
マリサ・トメイ
キュートである。

ちなみに映画冒頭シーンではいきなり激しいSEXシーン(特に最初は太った男の尻をひたすら見る)が淡々と続くので、家族とかと見ると逃げ出したくなるぐらいの冷たい空気になること請け合い。
だがしかしここでもマリサ・トメイはスゴイのだ。

☆☆☆☆

26.アナコンダ2 ボルネオ島の迷宮(2005)
"Anacondas: The Hunt for the Blood Orchid"

画期的な薬を開発するために、貴重な花を採取しに行く製薬会社のメンバー5人を待ち受けていたのは見たこともないほど巨大なアナコンダだった!
しかも繁殖の時期だったため、いっぱいいる!!!

それ以上でもそれ以下でもない映画です。
特に見せ場もなく、金に目の眩んだ野郎の狂気に後半はイライラする。
話が出来ない奴はダメだ。

☆☆

27.おおかみこどもの雨と雪(2012)
おおかみこどもの雨と雪(本編1枚+特典ディスクDVD1枚)
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狼男と恋に落ちた大学生のハナ。やがて2人の子(雨と雪)を授かるが彼らもまた狼男と狼娘であった。事故で父親は亡くなった後もなんとか必死に働き子を育てるがそれも限界に達したハナは田舎に移住し大きな一軒家で生活を始める。田舎での雨と雪の成長を描く。

いい話ではありましたよ。
狼になる描写とかはかわいいし、近所の人にバレるかばれないかみたいなコミカル感じも嫌いじゃない。

子は親が思うよりもずっと早く成長し、親離れより子離れが遅かったりとか。うむうむといった感じ。
ラストの「しっかり生きて!」っていう言葉はなんとも深いし大切に扱いたい。

でもね。どうしても引っ掛かるのがそもそもの雨と雪の誕生の所

狼男と知り合って、仲良くなって、愛しあって、SEXをして(半人半狼の姿で!)子供が出来ましたって淡々と描かれるのだけれど、普通もっと葛藤があると思うよ。

多分生まれてくる子は普通の人間じゃないかもしれないって思うだろうし生活のことだってあるし、なんでそんな簡単に子供を作るわけ?作らないっていう選択肢もあっていいじゃない。

SEX→あ、気分が。。→出来ちゃったみたい。。。育てるわ!!!みたいな流れがダメ。引っ掛かる。
ここだけにしか書かないけど、個人的に出来ちゃった婚ってどうもダメなのよ。もちろん個人の自由だし、知人にもいるし、他人がどういう過程や気持ちで子供を作ろうと結婚しようと、本人が良ければそれは心からおめでとうと思うんだけど、映画内でキャラの感情とか境遇とか恋人との関係性を知っているだけに、なんでそんなあっさりと?って思う。それこそドラマだと思うけど。
特に今回のケースは普通の人よりハードルが何倍も高い訳だし産むなら産むなりに大きな葛藤があるべき。

そして、ハナよ。お前は天涯孤独な人間なのか?そうではなかろう。なぜ元々いた世界から切り離されることになにも思わない?親は?友達は?なんだこの盲目的な描写は。

あと最後に、映画を見た人がみんな唐突に思うであろう。父親の死ぬ所。いいのあれで?ザ・不運って感じだけど。

☆☆☆

28.ダイ・ハード(1989)
ダイ・ハード (期間限定生産スペシャルパッケージ) [DVD]
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ご存知ブルース・ウィリスの代表作。
妻の働くビルにたまたま居合わせたブルース・ウィリスがテロリストの攻撃に巻き込まれる。人々が捕まり人質にされる中、彼だけがビル内の唯一の望み!
外の警察のダメっぷり。ブルース・ウィリスが逆境で生み出す必死のアイデア!なんでオレがこんな目にと悪態をつく感じ!そしてイカした黒人警察との無線で交わされる友情。

面白い。純粋に面白い。

☆☆☆

29.The Driver(1978)

ザ・ドライバー [DVD]
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強盗犯人などを乗せて安全な場所まで車で運ぶ通称「逃がし屋」の寡黙な男が主人公。
彼を追う警察、警察とのウラ取引で彼をハメようとする強盗団。

カーチェイスシーンはなかなか見もので過剰な演出も音楽もなく淡々とリアリティに溢れる描写で描いていて、なんか普通の凄さみたいなのに結構ドキドキする。飛んだり跳ねたりましてや爆発なんかしないんだけど、心理戦を駆使した倉庫内での非常にゆっくりとしたカーチェイスは特に緊張感があって良い。

この主人公のかっこ良さにハマる人はバッチコイ!ハマるんだと思います。

☆☆☆

30.キャビン(2013)
"Cabin in the wood"

これはどんな切り口から話しても多分にネタバレを含むため口を紡いでいるのが世間のためにはいいのかもしれないが、是非とも声を大にして語りたいため、別枠(近日UP!)にさせて頂きます。

矛盾していますが出来ればなにも情報を入れないで見て欲しい。HPもこのブログも。

こんな映画他には絶対ないし真似しようと思っても出来ない。
そして最高に面白くてスカッとしてハッとして映画を理解すると私のようにもう一回見ないと気がすまなくなる。

見なさい。これは限りなく命令に近いオススメです。

☆☆☆☆☆

31.ハンガーゲーム(2012)
ハンガー・ゲーム [DVD]
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かつて国歌に対して反逆をした12の地域に課せられた、戒めの罰。それがハンガーゲーム。12歳〜18歳の男女がそれぞれ地域から選ばれ、彼ら24人のうち1人が生き残るまでお互いを殺しあう。試合は環境も様々で全国放送され富を誇る人々にとって最高の娯楽となっている。幼い妹の身代わりで志願してゲームに参加した主人公。果たして無事生き残れるのか?

基本的には面白いと思う。設定はなかなか凝ってるしゲームの制度とか社会との関わりなんかもいいと思う。
でも細かいところが雑でその設定の良さが生かしきれていないのでは?

人気になったらセレブのスポンサーがついて物資の援護が来るって言ってたけど来たのはトレーナーからの薬だけやないの。11区の彼はどっかのタイミングで主人公の行いに気づいて侘びを入れるまたはなにかしらの仁義を見せるべきであろう。あと「あいつには要注意だ」的なプロの殺し屋くん。弱いよ。主催者は手を出しすぎ。フィールドの端っこに言ったらダメなぐらいなら最初から狭いフィールドにしろ!「地形を読め」「水を見つけろ」「シェルターが大事だ」などの一連のサバイバルアドバイスはなんの役にも立たずましてや描写もなく。そりゃ殺し合いの最中に夜中に焚き火炊いてたら殺してくれって言ってるのと同意ですよetc...

ごめん。思い出したらやっぱあかんわ。

☆☆

32.ラバー(2010)

"Lover"ではなく"Rubber"。
タイヤの映画。です。
というかタイヤが主人公の映画。
もう少し付け加えるとタイヤが人を次々と惨殺して警察に追われる映画。
さらにその顛末を遠くから見ている出演者ではない見物人がいて、警察の操作のやり方にイチャモンをつけたりする映画。
ホントは見物人が全員死ねば映画自体も終わるはずだったのにたまたま一人生き残ってしまったので映画は続いてしまうし、そんなはずじゃなかったからストーリーが崩壊していく映画。

意味分かる?分かりませんよね。
冒頭は10分弱ひたすらタイヤが砂漠を転がすシーンを見せられるし。

ところが全部に意味なんてないんですよ。映画にとって意味のない"No Reason”な設定にこそ重要な意味があると彼らは言うわけです。

意味が無いということに意味を持たせてそれを映画全体でメタ構造にしている映画。

ラスト、三輪車がリーダを務めるタイヤ軍団の向かった先は?

何箇所かすんごい笑った。

☆☆

33.宇宙人ポール(2011)
宇宙人ポール [DVD]
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非常にアメリカ人的な性格をした宇宙人のポールとエリア51で出会ってしまったイギリスのSFオタク2人のロード・ムービー。

まずポールのキャラが最高にいい。性格も男前だし、話すこと話すこと洒落が効いててパンチがあって面白い。それに超いい奴!友達になりたい。
オタクたちもイギリスとアメリカの文化的ギャップで何箇所も面白いところがあるし2人共いいキャラしてる。すごく笑顔が素敵。

楽しい奴らとドライブ旅行も行ってみたいなあとか思うよ。

警察やらなにやらにずっと追われてるんだけどそいつらの馬鹿馬鹿しい駆け引きとかちょっとしたアクションとかも面白くて終始笑いっぱなし。スピルバーグにETのアドバイスしてるとことかめちゃくちゃおもしろい。
SF名作映画のパロディも随所に散りばめられているらしいんだけど、分からなくても面白くできてるから大丈夫。

終盤とあるポールと関わりの深い人物のところに行ってその人がラストまで同行するんだけど、その人に向けてポールの言う言葉がもうかっこ良すぎて。「あーオレにも言ってー」って。
一旦スルーして、「あれ、お別れの言葉は?」からのホゥ!!!!(←心の中で快哉を叫ぶ声)。最後に又惚れ直す。

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