寺山修司の「書を捨てよ町へ出よう」を以前読みました。

その中で、ものすごく感銘を受けるとともに深く考えさせられた一文があったので載せようと思います。

「つまり、月光仮面も少年探偵団も、ベトナム戦争のような国際的な事件には出動できない。

そこでは、正義と悪とが複雑に交錯し、お互いに正義を名のりあっているので、

それに参加をしようとする者は、自ら「正義の選択」を迫られるのだが、

月光仮面の「おじさん」も、少年探偵団も、与えられた「正義」のためにばかり働いてきて、

それを見きわめる「正義観」など、もつことができなかったのである。

だが、正義の為に働こうとするものは、自らの正義を作りださなければならない、

というのが、私の月光仮面への最初の注文である。

そして、自らの正義をつくり出すということは、自らの法をつくりだすということであり、

その管理単位としての「もう一つの国家」をも生成しなければならないだろう。」



これを例えばバットマンやアイアンマンなどの映画や漫画のいわゆるヒーローたちに当てはめてみると、彼らの「正義」というものがどういうものなのかが浮かび上がるのではないかと思いました。

キャプテンアメリカは米軍の管理にありますし、基本的にアメリカ政府の以降のもとに働くのでしょう。

アイアンマンことトニー・スタークは軍需産業のトップメーカーの社長でしたが、自分の道が誤っていたと気付き、自らの正義を作り出し、敵と戦います。軍との関係は深いですが、軍とは独立した存在です。

日本のヒーローに置き換えてみましょう。

例えば仮面ライダー。
世界征服を企むショッカーと彼が日々戦い続けるのはなんのためか?
もし、ものすごくショッカーの行動が民主主義的(例えば日本政府と結託してアジアに侵攻)になってしまった場合、仮面ライダーはどうすべきなのだろうか?
彼は「今の」彼の正義を信じてショッカーと戦い続けるのか、彼もまた民主主義に則り、抵抗を諦めるのか。

月光仮面や少年探偵団は所詮警察なのです。
警察の正義観を借りることは出来ても、そこから殻を破って自らの正義を掲げることなど出来やしないと寺山修司は言うわけです。

「法を作り、もう一つの国家を生成する」という発想はファシズムにも繋がるある意味では危険な思想です。
ヒーローたちは今でこそいいものの、戦前戦後の日本のように国家の思想自体が変わったり、第三者の介入により、拮抗関係のバランスが崩れた時、どうするべきなのか?
新たな国家を生成し、帰属国家に対して制裁を行うのか?

それこそウォッチメンとかと絡めるとものすごーく深い議論ができそう。
ウォッチメンに登場するヒーローたちは各種いるけど、みんな「正義観」が違うからね。そもそも正義でない人もいるけど。

実際、アメリカ政府と結託していたDrマンハッタンとコメディアンはベトナム戦争で暴れまわってアメリカを勝利に導いている。

更に、オジマンディアスは冷戦下において、本当の意味で自らの正義を信じてそれを実行した訳だし。
それがいいか悪いかなんで誰にも判断できないし、それが可能としたら歴史のみでしょう。

「寺山修司の正義論を通じてスーパーヒーロー達の正義観に迫る!」

宇多丸さんのラジオで特集でも組んでくれたらめちゃくちゃ面白いだろうなあー。

最後はドラえもんのこの言葉で締めてもらいましょう。
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至言ですね。